捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
アシュリーの言葉が頭をよぎった。

『わたくしのようになりたくなければ何も言ってはダメよ』

(オースティン様は私に嘘をついているんだわ!何も知らない私を利用しようとしているのよ……!)


「ユイナ、とりあえず中に入ろう」


ユイナは涙を堪えながら振り返り、オースティンの手を打ち払った。
重たい音と共にジンとした痺れるような痛みを感じた。
オースティンは目を見開いている。


「ユイナ……?」

「私……っ、もう疲れたので部屋に戻ります!」

「まだ挨拶が残ってるんだ……!もう少しで終わるから会場に戻ってくれ!」

「嫌……!絶対に嫌よ」

「……なっ!?まだパーティーはっ」

「パーティーなんか出たくないわ!」

「お、おい……!ユイナッ」


そう言ってユイナは走り出した。
豪華な王宮も煌びやかなドレスも宝石も今のユイナには意味がない。

(元の世界に帰りたい……!)

そう強く願いながら、必死に足を動かしていた。



(ユイナside end)
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