捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜

四章

アシュリーはギルバートと共に馬車に乗り込んでから体を震わせていた。
その両手は顔を覆ったままだ。


「アシュリー……」

「……っ、ふ」

「…………困った子だ」

「っ、……」

「もう我慢しなくていいんじゃないかな?」


ギルバートは優しく微笑みながら、アシュリーの頭を撫でていた。
暫く経つとアシュリーは顔を覆っていた手のひらを外す。


「フフッ、あははっ……!」

「笑い過ぎだよ、アシュリー」 

「だってぇ……!ああ、おかしいッ」

「そうだね」


目に浮かぶ涙をそっと拭ったギルバートは、腹を抱えて笑う姿を見て安心したように息を吐き出した。


「こんなに計画通りにいくなんて思わないでしょう?」

「……そうだね」

「もう壊れはじめていたのね。呆気ないわ」

「あぁ……徐々に崩れているようだね」

「それもそうよね。わたくしとあの子は真逆だもの。そうなって当然よね!ふふっ……あはは」


アシュリーは真っ赤な唇を歪めた。
先ほどまでは濡れそぼっていたはずの目は血走っていた。
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