捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
サルバリー国王はどうしても『聖女』の力に頼りたいらしい。
今もユイナの力に頼りきりで、動こうとはしない。
本当はこんなことをしている場合ではないのに、見栄を優先している。
ペイスリーブ王国のように武力を強化して、国民を守ろうとは思わないのだろうか。
今、ユイナの負担やプレッシャーは計り知れないものだろう。

(相変わらず、人を道具としか思っていないのね)

今までエルネット公爵家でアシュリーの元に押し掛けていた貴族たちはユイナの力を求めて王宮に殺到したそうだ。
そしてユイナが治療を施せば施すほどに、その噂が広がっていく。
今まで通り魔獣と病に怯えない暮らしをと、必死に王家に訴えかける。

そうして王家がユイナを出し渋れば不信感が募る。
ユイナの力を王家が独り占めしていると思うようになれば、お願いが一転……容赦ない攻撃へと変わっていく。
自分の命が掛かっているからこそ、形振り構ってはいられない。
サルバリー王家は焦りユイナの力は消えていく。
衝突は大きくなり、齟齬が生まれる。
簡単に歯車は軋んで動かなくなっていくだろう。


「すべてあなたが土台を固めてくれたおかげだわ」

「僕はアシュリーが言ったままに動いただけだよ」

「それでもよ……あなたの力なしでは無理だったもの」
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