捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
本当は厳しく叩き込んでいきたいのだろうが、ユイナが拒否すればうまく進まない。
機嫌を損ねたら命が脅かされてしまうため何も言うことができない。
けれど今のオースティンが公務に行くにあたって、ユイナの同伴は必須になっていく。

(側妃でも迎えようと考えている頃かしら。そしたらもっと面白いことになるわ)

すべて当然のようにうまくいっていたことがアシュリーがユイナに代わったことによって少しずつ少しずつ壊れていく。
今までオースティンに何を言われようともアシュリーは耐えていた。
サルバリー王家のために、両親のためにと従い続けた。

(本当……わたくしって何て馬鹿だったのかしら)

満足に文句も言えずに板挟みの中、悶え苦しんでいるのかと思うと、アシュリーは心が満たされるような気がした。
そしていつもならば、このような場に真っ先に飛んでくるエルネット公爵と夫人の姿がなかったのは予想通りというべきか。

二人も着実に追い込まれているのだろう。

(まさかペイスリーブ王家からもらったあの莫大な金を半年もせずに使い込むなんて……信じられないわ)
< 174 / 240 >

この作品をシェア

pagetop