捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
エルネット公爵たちは恥を忍んで何度か金の無心をしにペイスリーブ王城に来たこともあるそうだがすべて門前払い。
そんな暇があるならば領地の経営を見直すために金を使えばいいのにと思わずにはいられない。
恥ずかしいを通り越してしまい最早、哀れだった。
ロイスも同じように思ったのだろう。
何も言うことはなかった。

二人は敷地に足を踏み入れることすら叶わずに帰っていった。
十年も楽をしてアシュリーを使い金を稼いでいた二人は、あの時の贅沢を忘れられないのだろう。

そんな二人をアシュリーはギルバートと共に窓から見下ろしていた。
それが二ヶ月前のこと。
そしてついには、国中の貴族たちが集まるパーティーにすら参加できなくなるほどに堕ちてしまったようだ。

エルネット公爵邸のものをすべて売り払い、着替えさせてくれる人も、掃除もしてくれる人も、世話をしてくれる人も、料理をしてくれる人もいなくなってしまった。

プライドだけは高く、やりたい放題に振る舞っていたツケを払う時がきただけのこと。
頭を下げることも謝罪することもできずに只、朽ちていく。

もうこれ以上はいいと、サルバリー王国でエルネット公爵家の監視をしていたギルバートの部下は最後の報告を終えた。
しかしサルバリー王家に忍ばせた侍女や諜報員はまだたくさんいる。
今まで横暴な態度を取り続けて周囲を威圧してきた両親は、王家にも見放されて貴族たちからも嫌われている。
誰にも助けてもらえずに、一気に地獄まで落ちていった。

(ああ、なんて惨めなの……)
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