捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
破滅に向かってひた走る両親の姿を見てもアシュリーは何も感じない。
悲しくも辛くも苦しくもない。
自分の大切な家族であるロイスとクララ、ペイスリーブ王国だけが幸せに暮らせればそれでいい。
そのためにはまだ足りない。
(もう少しで、とどめが刺せるのね)
二人は今までの生活を忘れられずに、最後の最後までしぶとく足掻くだろう。
アシュリーは小さく笑ってから、ドキドキする胸元を押さえた。
「ギルバート、聞いて」
「なんだい?」
「わたくしね、ユイナ様に嘘をついたわ。本当は魔力が不足するだけで命は使っていないの」
「……そうだね」
「わたくしはうまく嘘をつけたかしら?人を欺くなんて初めてよ。まるで悪戯が成功した気分ね」
「とっても上手だったよ、アシュリー」
「そう、なら良かったわ。わたくし、まだまだ悪い子になる練習が足りませんわね」
「けれど、アシュリーのように真実と嘘を織り交ぜながら相手の解釈に任せたやり方もいいんじゃないかな?……大丈夫、きっとうまくいくよ」
「えぇ……あとはユイナ様が動くのを待つだけね」