捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
アシュリーはホッと息を吐き出した。
うまく嘘をつけるのか、嘘がバレてしまうのではないか……危険なやり取りに気持ちが高揚していた。
今までついていた人を気遣う優しい嘘ではない。
王家を地獄に陥れるための嘘、あの男を苦しめるための嘘だ。
そこには憎しみと悪意をたっぷりと詰め込んだからだ。


「やっぱりユイナ様は外から魔力を補充できないのね」

「異世界から来た彼女は、どうやら魔法を使えるに適した人間ではなかったらしい。それにこのままいけばもうすぐ魔術師を炙り出せるはずだ」


サルバリー国王はもう一度、魔術師と接触を図るはずだ。
目的を達成するために着々と前に進んでいた。


「様子は都度伝えてくださる?タイミングは間違えたくないの」

「わかったよ」

「それに希望は突然消えた方がいいでしょう?だからまだ何もしないわ」

「アシュリー……」

「追い詰められてどうしようもなくなった後に何もなくなる……こんな絶望って他にないでしょう?」


アシュリーは満面の笑みを浮かべた後に、可愛らしく首を傾げて手をあわせた。


「そして惨めに縋りつく様を見て嗤ってやるの……ふふっ、愉しみね」


無邪気に笑うアシュリーの姿を見ていたギルバートの唇が微かに動く。
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