捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
「ユイナはどうするんだい?もう決めたのかな?」

「ユイナ様は……」


アシュリーはユイナの笑顔を思い出していた。
あの無垢な表情はアシュリーの心の柔らかい部分を抉り出していく。


「彼女はやはり……」


アシュリーはギルバートの言葉を遮るように唇を塞いだ。
そっと顔を離した後に指を唇から首元にゆっくりと滑らせていく。
アシュリーの長い爪がギルバートの皮膚に容赦なく食い込んでいく。


「ユイナ様は、やっぱり昨日言った通りにしたいわ」

「……!」

「そうしないと……わたくしの気が済まないの」


ギルバートは一瞬だけ目を見開いた後に額に手を当ててから喉を鳴らすように笑った。


「あはは……!」

「…………」

「アシュリーは優しいなぁ……わかったよ。口を出した僕が悪かったね。城に帰ってからゆっくりと話そうか」

「ありがとう、ギルバート」


ギルバートに手を伸ばして、手のひらで包み込む。
赤い瞳は楽しそうに歪んでいる。


「ねぇ……聞いて、ギルバート」

「何だい?」

「愚かなわたくしはね、ずっと部屋の中でダンスの練習をしていたわ。いつか……愛する人と笑い合って踊れることを信じて」

「今日は楽しかったということ?」

「ふふっ、あの男の前で踊るダンスはとても楽しかったわ」
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