捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
そっとギルバートの耳元に唇を寄せる。
そしてアシュリーは囁くように呟いた。


「愛してるわ。ギルバート」

「この件が終わったら君は本当の意味で僕を愛してくれるのかな?」


ギルバートの言葉にアシュリーはピタリと動きを止めた。
やはりこの男は頭がいい。
鳥籠の中にずっといたアシュリーと違い、外で生き抜く術を知っている。
唯一、残念なのは鳥籠の鳥に心を奪われてしまったことだろう。


「……意地悪ね」

「そうかな?」


アシュリーはギルバートの黒い髪を優しく撫でた。


「僕は諦めるつもりはないから」

「…………馬鹿な人」

「折角なら君と幸せな家庭を築きたい。アシュリーが心から笑えるように僕は全力を尽くすよ」


ギルバートの甘いセリフにアシュリーはフッと息を漏らして笑った。


「君はとても素敵な人だ。僕の女神だよ」

「……。ありがとう、ギルバート」

「今日は夢のような、時間だった……本当に」


ずっとアシュリーに焦がれていたギルバート。
パーティーでアシュリーに救われた日からずっとアシュリーを想い続けていた。


「僕は君が幸せならば何でもいい……もっと僕の前で笑ってくれ」

「わたくしは今、とても幸せよ。ギルバート」

「……アシュリー」


ギルバートに体を寄せたアシュリーの唇は綺麗に弧を描いていた。
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