捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
「ユ、ユイナ様が……っ」
「ユイナがどうした!?もしかして、また問題を起こしたのか?」
「いなくなりました!」
「なっ……!?」
「ユイナ様が部屋からいなくなってしまったのです!」
「どういうことだッ!」
カルゴの話によれば、ユイナは朝までは部屋の中にいたのだという。
しかし侍女たちに「体調が悪いから寝かせて。お昼ご飯もいらないから部屋に入らないで」と言ったユイナは、早々に侍女達を部屋から追い出したそうだ。
そしてユイナの体調を心配した侍女たちがカルゴの元にやって来た。
そこでユイナの体調が悪いことが伝えられて、診察をするために部屋に向かい、声を掛けるが返事がない。
寝ているのかもしれないと一度は踵を返した。
しかし数時間後にノックをしても反応がなく、何かあったのではと心配になり合鍵を使って部屋の中に入ろうとしたが、扉が動かないことに気づく。
騎士達を呼び扉を打ち破ってみると、部屋にユイナの姿はなかった。
どうやら扉が開かないように内側から重たい棚を置いて塞いでいたようだ。
開きっぱなしの窓からはヒラヒラとカーテンが靡いていた。
ユイナの部屋は二階ですぐ側に木があるため降りられない高さではない。