捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
ユイナの言葉に周囲の空気は凍りついていた。
普通ならば、不敬罪ですぐに打首になっていることだろう。
だが何も知らないが故に容赦なく言葉をぶつけている。
ここまで王家に楯突いたことがある者は、エルネット公爵くらいだった。
「私にだって、本当は色々知ってから選びたかった!何も知らないのに婚約者って言われて、国を守るためだけに気持ちを利用されて……!もう、うんざりよ」
サルバリー国王は苦虫を噛み潰したような表情をしながらユイナを見ていた。
「……ユイナ、一体何が望みなんだ」
「今すぐオースティン様との婚約を破棄してくださいっ!」
「え……?」
「私のことを好きでもない人との結婚なんて絶対に嫌よ!」
「オースティンは、ユイナを心から愛しているわ……!」
「……嘘よ!」
「嘘じゃないわ。オースティンは本当にあなたがっ」
すかさず王妃がフォローを入れるがユイナは首を横に振る。
そして鋭い視線を二人に向けた。