捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
「本当、嘘ばっかり……!私、侍女の人たちが話しているのを聞いたんだからっ」

「な、何の話を聞いたというんだ」

「私以外の人を側妃として迎えるんですよね!?」

「……っ!」

「何故それを……」


ユイナは二人の反応を見てオースティンはグッと拳に力を込める。


「やっぱり本当なんだ!しかも私に内緒でこんなことを計画するなんて信じられない。裏切りだわ!」

「だがユイナ、それは仕方のないことなんだ……!オースティンは王太子としてたくさんの仕事をこなさねばならない」

「だったら初めから私じゃない人と結婚すればいいじゃない!私は何人も妻がいる人となんて絶対に結婚したくないっ」


サルバリー国王は痛む頭を押さえている。
この王国では当然のことが、ユイナには理解されずに食い違ってしまう。
やはりユイナの世界との文化の違いは大きいようだ。
しかしユイナに聖女の力がある以上、彼女を切り捨てることは絶対にできはしない。

結界を張らなければサルバリー王国を魔獣から守れない。
魔獣と戦う術はアシュリーの力が発覚した十年間ですっかりとなくなってしまった。
魔獣への膨大な対策費は王家の懐に入っていた。
すっかりと腑抜けたお飾りの騎士たちを派遣したところで、魔獣に喰われて終わりだ。
< 190 / 240 >

この作品をシェア

pagetop