捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
それに王家以外の場所にユイナが嫁げば、エルネット公爵家と同様に様々なトラブルが起こる可能性がある。
また以前と同じような状況になってしまった。
〝大金〟が〝ユイナの機嫌〟に変わっただけだった。

けれどサルバリー国王と王妃、オースティンの頭に過るのはアシュリーの方がまだマシだったという考えだ。
金が掛かり、腹も立ったが明らかに楽だった。
エルネット公爵は厄介だったとしてもよくよく考えたらアシュリーは従順だった。

もし王家がエルネット公爵たちの暴挙に早くに気づいて、ギルバートのようにアシュリーを手に入れさえしてしまえば、待っていたのは安寧だったかもしれない。

邪魔なエルネット公爵がいない今ならば、安定して聖女の力を使うアシュリーを連れ戻すことが一番の解決方法だった。
しかしペイスリーブ王国の王太子、ギルバートと結婚したためそれも叶わなくなってしまった。

アシュリーの力を借りたいと願っても、ペイスリーブ国王の許可を取らなければならない。
それに自分たちがアシュリーにした仕打ちを考えれば、アシュリーがサルバリー王国に手を差し伸べるとは思えなかった。
あのパーティーで壇上に上がったアシュリーから向けられたのは深い深い憎悪だった。

(何も知らないユイナに言いたい放題にされるなんて……腹立たしい)
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