捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
オースティンの体調は悪くなるばかりで状況はどんどんと悪い方向へと進んでいく。
けれどオースティンはユイナの機嫌を窺いながら治療を受けるしかなかった。
医師ももう治療の手立てはないといった。
薬の研究はオースティンがアシュリーの聖女の力で病が治ったと思い、中断したことが仇となった。

治療の期間は短くなっていく。
その間、ユイナの気を引こうと必死にアピールしていた。
宝石にドレス、菓子や花と以前好きだったものを持っていった。
けれど喜ぶどころか、ユイナは嫌悪感を滲ませて態度はどんどんとひどくなっていく。
ついには何を言ってもオースティンを無視して、治療が終われば「話しかけないで」と言うようになった。

そんな時……決まってアシュリーの顔が思い浮かんだ。

今まで自分がアシュリーに言っていたことと同じことを言われているのだと気づいた。
長年アシュリーはこの態度に耐え続けていた。
『用が済んだらさっさと帰れ』『お前といてもつまらない』『俺に話しかけるな』
ユイナから冷たい言葉を投げかけられる度に、己の罪を見せつけられているような気がした。
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