捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
あの時、アシュリーがどう思ったのか。
それを考えるだけで胸が痛んだ。

アシュリーは何故こんな扱いを受けながらも治療をしていたのだろうか。
オースティンはユイナに数日拒絶されただけで心が折れそうだった。

今、ユイナは目も合わせてはくれない。
そんなキツい態度のユイナと毎日顔を合わせるのは苦痛だった。
オースティンがアシュリーにしていたことをそのままされている。
ユイナからはオースティンに対する憎しみのようなものが滲み出ていた。

(……アシュリーも、こんな気持ちだったのか)

オースティンも冷めた態度でアシュリーの好意を踏み躙っていた。
アシュリーはいつでもユイナのように振る舞うことができたはずなのに、それをしなかった。

(こんな状況で、何故アシュリーは……!)

アシュリーがいなくなり、ユイナにこうした扱いを受けて初めて己の立場を自覚する。
もう完全に手遅れではあるがオースティンはアシュリーにしていた行動を悔いていた。

そしてついには一日、半日と治療の間隔は縮んでいった。
治療をする度にユイナはオースティンに軽蔑した眼差しを向ける。
その理由は側妃の問題だけではない気がした。

(こんな体じゃなければ……!)

またアシュリーが治療していた時のような体に戻りたいと願っても、もう二度とあの日々には戻れない。
絶望がオースティンのすぐそこまで迫っているような気がした。


(オースティンside end)
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