捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
ギルバートが指で手紙を摘むと、真っ白な封筒が黒々とした闇に包まれて消えていく。
そして灰がヒラヒラと地に落ちていったのを侍女が風魔法を使い片付けた。

ギルバートは濡れた布で手を拭くと、アシュリーの目の前に朝食が運ばれる。
侍従が椅子を引くとギルバートは腰を下ろして席についた。


「アシュリーはこれからどうしたい?」

「どうもしないわ。ただ放っておけばいいのよ……それに今から本当の絶望を味わせることができるのに、わたくしが余計なことをする必要はないわ」

「それもそうだね」

「予定通り何も変わらない」

「なら、ユイナは用済みかな?」


ギルバートはそう言って持っていたグラスを傾けた。


「そうね。異世界の聖女様には元の世界に還っていただきましょう」

「あぁ、その準備は整っているよ」


ギルバートの言葉に、アシュリーの唇が弧を描く。
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