捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
アシュリーがユイナを元の世界に還す方法はないのかとギルバートに問いかけると「魔術師を捕まえれば責任を取らせることができる」と答えた。
つまり禁術を使わせてユイナを元の世界へと送り返すことができる。
ユイナは元の世界に戻り何事もなかったかのように暮らすことができるそうだ。
まるで悪夢から醒めるように、すべてが元に戻る。

(あぁ、羨ましい……わたくしはずっと悪夢の中にいるのに)

そのためにはユイナの〝元の世界に帰りたい〟という気持ちを増幅させなければならなかった。
それとサルバリー王家を使って魔術師を誘き出す必要がある。

夜会でユイナとオースティンの間に亀裂を入れて恐怖を植え付けてから孤立させる。
疑心暗鬼になったユイナは王宮から逃げ出して、プライドの高い国王と王妃がアシュリーに頼らなければならないほどに追い詰められているらしい。

(ウフフ……もうすぐよ。もうすぐ終わりはやってくる)

この復讐はユイナが消えた時にこそ、最大の効果を発揮する。
だからこそ、タイミングは見極めなければならなかった。


「ありがとう、ユイナ様。わたくしの役に立ってくれて………さようなら」


黒い封筒を受け取った侍女は、頭を下げた後に静かに部屋を出て行った。
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