捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
拒否しても「ユイナ様が心配なんです」と言われ、扉の外から返事をするまで何度も問いかけてくることもある。
とにかく窮屈で頭がおかしくなりそうだった。

(こんな生活、もう嫌……苦しいっ!)

そんな時は決まってアシュリーの言葉を思い出すのだ。
アシュリーも部屋に閉じ込められて治療をさせられていたと言っていた。
きっと今、自分はアシュリーと同じ状況なのだろう。
それに一日に一度は必ず力を使っている。

(このままだと私は……っ、怖い!)

元の世界ではどこにでもいる平凡な高校生だった自分が、異世界では特別な存在になった。
まるで物語に出てくるお姫様のようだと思った。
素敵な王子様との豪華な暮らしは夢のように輝いていた。

元の世界に帰れないと言われて寂しかったが、皆が『ユイナ』を必要としてくれた。
そして王子であるオースティンと結ばれて幸せの絶頂にいた。
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