捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
──ガタッ!

突然、大きな音がして肩を揺らした。
恐怖を感じながらも音が鳴った窓の方へと足を進めた。

(……黒い、薔薇?)

窓を開けるとヒラヒラと舞う不気味な黒薔薇。
黒い薔薇を手に取った瞬間、黒い封筒が現れた。

(一体、誰が……)

今度は窓から逃げ出せないようにと、部屋は王宮の一番上へと移された。
窓までは絶壁で人がよじ登ることはできない。

心臓はドクドクと音を立てていた。
宛名は書いておらず、誰かの手紙を勝手に読むわけにはいかないと思いつつも、手紙の内容が気になって仕方なかった。

(誰かが困るといけないもの……!)

ユイナの心臓はドクドクと音を立てていた。
宛名は書いていない黒い封筒を手に取り、赤い蝋を丁寧に剥がしていく。
中には封筒と同じく真っ黒な紙が入っていた。


「──ッ!」


そこに書いてある文字を見て、ユイナは大きく目を見開いた。
溢れる涙は頬を伝い、黒い紙に染み込んでいく。
手紙を折り畳んでからそっと抱きしめた。

(アシュリー様、本当にありがとうございます……!)

ユイナは部屋に置いてあるメモに書き置きを残して、扉の外へと一歩踏み出したのだった。
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