捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
(オースティンside)


──翌朝


オースティンは重い足取りで廊下を歩いていた。
今日もユイナがいる部屋に自ら足を運んでいた。
どうにかしてユイナに国のために働いてもらわなければならない。

少し歩くだけでも息苦しさを感じる。
壁に手をついてから痛む胸を押さえた。

(父上や母上がアシュリーに手紙を送っているのに、返事が返ってきたことは一度もないと言っていた……)

スッと背筋が寒くなる。
こんな感覚になったのは久しぶりだった。
常に付き纏っていた死の恐怖が、再びすぐ後ろまで迫っているような気がした。

(っ、大丈夫……!大丈夫に決まっているっ!)

やっとの思いでユイナの部屋の前に辿り着く。
しかし何故かユイナ部屋の前には人集りができていた。
それに侍女や騎士たちはひどく焦っているように見えた。


「ごほっ、こんなところでっ……何を、しているんだ?」

「オースティン殿下……!」

「オースティン殿下ッ」

「っ、まさか、またユイナに何かあったのか!?」

「……っ」
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