捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
その後、すぐにユイナの捜索が行われた。
王宮も街も隅々まで探したが目撃情報すらない。
侍女たちは交代しながら夜通し扉の前にずっと控えていたそうだ。
騎士たちだって待機している。
昼間は侍女が一時間に一度はユイナの姿を確認しており、昨晩までは部屋の中にいたはずだった。

窓から出ることは絶対に不可能。
ユイナが逃げ出してから部屋を移動しており、王宮の断崖絶壁の壁を降りることなどできはしない。
そんなことをしたら死んでしまう。

以前ユイナが出て行った時とは違い、部屋から出た痕跡はどこを探しても見当たらなかった。
まるで魔法のようにユイナは忽然と姿を消したのだ。

ユイナが消えてその日からオースティンは高熱と関節の痛みが続いていた。
息苦しさと呼吸ができないほどの咳が容赦なくオースティンを追い詰めていく。

(もう、嫌だ……俺は、一体何を……!なんでっ……何故こんなことに)

急激に悪化していく体調に為す術はなく、ユイナの捜索は続けていたが、一週間経って諦めることとなる。
サルバリー王家はある情報を発表した。

〝異世界の聖女が消えた〟
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