捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
(まだ何か条件を提示すれば……!けれどギルバートをどう説得すればいい!?ペイスリーブ王国には脅しは通用しないし、下手なことをすれば返り討ちにあうかもしれない……どうにかしてアシュリーを従わせることはできないだろうか)

サルバリー王国は今までずっとアシュリーの力で命を繋いできたことを思い知る。
しかしエルネット公爵達の金の無心と厚かましい態度のせいで憎しみばかりを募らせていた。
もしアシュリーの事情に気づいて状況の把握さえできていれば、こんなことにはならなかったのかもしれない。

(もっと早くアシュリーと結婚していれば……こんなことになるならっ)

今更、選択を誤ったのだと気づいたとしても素直に認めることはできそうになかった。

結局現状は何も変わらぬままサルバリー王国に帰ろうとした時だった。
フラフラとした足取りで門の柵を掴み、大声で叫んでいる薄汚い格好をしている男女がいた。
よく目を凝らして見てみると、そこには……。


「あれは……まさか、エルネット公爵か?」

「嘘……でしょう!?」


そこには見窄らしい格好をしているエルネット公爵と夫人の姿があった。
派手なドレスと煌びやかで大ぶりなアクセサリーを着けていた公爵夫人は今は薄汚れたワンピース一枚だけ。
公爵に至っては膨よかだった体型は痩せ細り見る影もない。
するとエルネット公爵達は柵に掴みかかり、執事に向かって必死に手を伸ばす。
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