捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
それにもう大金と引き換えにロイスとアシュリーを手放したのはエルネット公爵たち自身なのだ。
涙ぐむエルネット公爵夫人にも表情を変えることなく、執事は右手を上げながら淡々と言い放つ。
するとすぐに騎士がやってくる。


「アシュリー様がそう望んでおられるのです」

「あの子がそんなことを言うわけないでしょう!?あの男のせいよ!あの男が邪魔しているに違いないわ。アシュリーに今すぐ会わせて!会わせてよぉお……っ!」


悲痛な叫び声が響いていた。
「少しでいいから金を貸してくれ」「アシュリーに会わせて」「今すぐ話をさせてくれ」
エルネット公爵たちが惨めに縋りつく様に言葉を失っていた。


「お帰りくださいませ」

「……頼む、頼むからぁ!」

「離してっ、離してよ……!」


会話から察するに、このようなやり取りは日常的に行われているのだろう。
騎士たちに引きずられて悲鳴のような叫び声を聞きながらエルネット公爵たちは投げ捨てられるように去った。
オースティンは衝撃的な変貌が目に焼きついて離れない。
そして自分がこうなってしまうのではと思うと頭がおかしくなってしまいそうだった。
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