捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
アシュリーの挑発するような言葉に父と母の眉がピクリと動く。


「結婚して随分と横柄になったのだな……アシュリー!」

「あら、お褒めいただきありがとうございます」


優雅に佇んでいるアシュリーに父はずっと気になっていたことを問いかけた。


「エルネット公爵の、今の状況を知っているか?」


エルネット公爵の変わり果てた姿を見てアシュリーがそのことを知っているのか、オースティンも気になっていた。
もしかしたらギルバートがアシュリーを守ろうと黙っているだけなのかもしれない。
そう思っていたがアシュリーの次の言葉に驚くことになる。


「勿論、存じ上げております」

「………!」

「え……?」


両親のあの姿を見ても心一つ動かされないというのだろうか。
アシュリーは無邪気に、そして嬉しそうに手を合わせている。


「あのような姿を見て、何も思わないのか!?」

「何も思わないのか、とはどういう意味でしょうか」

「……何故、会ってやらんのだ!」

「わたくしが、あの方たちに会う必要がありますか?」


話が噛み合っているようで噛み合ってはいなかった。


「サルバリー国王陛下も王妃陛下も、あの方たちを嫌っていたではありませんか。関わらずに済むと清々すると仰っていたのに」

「……それは」

「まさかとは思いますが、あの姿を見て同情でもしましたか?」
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