捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
両親が何を言っても予想もしていない方向に話は勝手に進んでいく。
確かにアシュリーの言う通り、無意識に無償で治療を受けられると思っていた。
何故、無償で助けてくれると思ったのか。
今までそれが当たり前で当然だったからだ。

しかしアシュリーはもうペイスリーブ王国の人間で、こちらで自由に動かせる存在ではない。
次々と冷や汗が流れていく。
アシュリーはこちらに軽蔑した眼差しを送る。


「それは、わかっておる……っ!金なら払う」

「サルバリー王国にそんなお金があるとは思えませんわ。辺境に住むサルバリー王国の国民たちは、次々とペイスリーブ王国に亡命してきています。そんな状態なのに口だけの約束をするわけありません」


アシュリーの言う通りだった。
サルバリー王国はかつてないほどに追い詰められている。
ユイナもいなくなり、魔獣に追われて貴族たちはバラバラ。
今だって現実から目を背けるようにここに来ていた。


「それに、あの時わたくしに言ったことを忘れたなんて言いませんよね?」

「……っ!」
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