捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
アシュリーの言葉は核心を突くものだった。


「わたくしのことをいらないと言って捨てたのは陛下たちではありませんか。それにユイナ様がいなくなったからといって、脅して力を使わせようだなんて……烏滸がましいにもほどがありますわ」


いくら誤魔化そうとしてもアシュリーの言う通りだった。
だからこそ本人から事実を突きつけられてしまえば、何も言い返すことができないのだ。


「わたくしを利用し続けた報いを受けるがいいわ。ウフフ……誰の言葉だったかしら?」

「───ッ!」


アシュリーの固い意志と恨みを感じて焦りばかりが募っていく。


「それにわたくし謝罪も受けておりませんし、心が痛いですわ」


アシュリーのその言葉に一筋の希望を見出した瞬間、プライドなどどうでも良くなってしまった。
『謝罪をすれば治療してくれるかもしれない』
オースティンはすぐに治療して欲しいと思ったが、咳ばかりが出て言葉が紡げない。
父も母も同じ気持ちなのだろう。
その想いだけで動いていた。


「すまなかった!この通りだ……っ!」


今は見栄を張っている場合ではないと、父と一緒に深く深く頭を下げた。


「私たちはアシュリーにあんな態度を取ったことを後悔しているわ!何だってする、だからどうかオースティンを!オースティンを助けてぇ……っ」
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