捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜

アシュリーはオースティンを見据えた。
涙と鼻水だらけの惨めな姿を見ても心が痛むことはない。


「……っ、すま、なかっだ。許し、てッゴホ……!ゴホッ」


王妃はオースティンの姿を見て我慢ができなかったのか、彼の元に行き、背を擦りながら大粒の涙を溢している。


「アシュリー、お願い……!何でもするわ!あなた欲しいものは何でもあげるっ」

「頼むっ……!」


オースティンの口から掠れた声で『助けてくれ』と聞こえたような気がした。
今更縋りついたところで何もかもが手遅れなのだ。
アシュリーがこうして話を聞いて欲しいと縋った時、彼らはなんと言ったのだろうか。
暴言を吐かないだけマシだと思ってほしい。
まさにあの時の絶望を再現しているようだった。

(滑稽ね……本当にくだらない)

そんな悲痛な叫びを聞いてもアシュリーの心は動かなかった。
こんなに苦しんでいる姿を見ても少しの罪悪感も感じない。
怒りと憎しみは燃え上がるばかりで消えないのだ。
アシュリーは大きく息を吸った。
そして貼り付けたように笑を浮かべた後に、こう答えた。
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