捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
(これで、最後の希望も断ち切ったわ)

彼らにとっては最悪の結末だろう。
今、彼らは大切な国も地位も金も立場も何もかもを失おうとしている。
これ以上の苦しみと絶望は他にないだろう。


「ウフフ……アハハッ!」


アシュリーの笑い声が広間に響き渡る。
これは欲に溺れた結果だろう。
結局は自業自得……彼らは何度も何度も選択肢を間違えた。
治療を断る前から決まっていた未来だ。
そのこと最後に明かして完全に戻れないところまで堕としていく。
あとは時間が経つだけで相手は勝手に自滅していく。


「やっと終わったね。アシュリー」

「ギルバート殿下、ありがとうございます」

「これで君の苦しみや悲しみは晴れたかな?」


ギルバートの問いかけにアシュリーはフッと息を漏らした。
復讐の終わりは随分と呆気ないものだった。
自滅していく様子を遠くから眺めていただけ。
なんともつまらない幕引きである。

アシュリーはギルバートの大きな手を握り、静かに身を預けていた。
彼の表情は穏やかでとても嬉しそうだった。
アシュリーはふと、窓の外を見た。
空虚な景色は色褪せたままだ。

(もう終わりなのね)

絶望を前に這いつくばる姿を見ることができて、心の底から嬉しいはずなのに、跳ねて喜べるような心持ちではなかった。

(でもこれでいい……これでいいの)
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