捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
「ふんっ……まぁいい。今すぐ王城に出かけるぞ」

「もちろんよ!まったく親のありがたみがわからないのかしら……」


そして国王から渡された紙と手紙を拾い上げた二人は何事もなかったように背を向けて去っていく。
いつも口を利かずに顔を合わせれば喧嘩ばかりしているのにも関わらず、両親は王家にどう抗議するかを真剣に話し合っていた。
クララもぶつけた頭を押さえながら必死にこちらへとやってくる。
ロイスとクララの瞳には涙が溜まっていた。


「っ、何があったんだ!アシュリー、何故……こんなっ」

「アシュリーお嬢様ッ!」


必死に声を掛けるロイス、クララは額に血が滲んでいた。


「また君を……守れなかった。すまない」


バートは苦しそうな表情を浮かべてアシュリーを見つめている。

(どうしてバート様がそんなお顔をするの?)

また、という言葉が気になったが、今はもう考えることができそうもなかった。
アシュリーは小さく「……ごめんなさい」と言うと意識を失った。


* * *
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