捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
「ロイスが公爵を継ぐまでまだまだ時間がある。このままでは君が壊れてしまうよ?」
ギルバートはアシュリーのミルクティー色の髪を優しく撫でた。
この力のせいでアシュリーは不幸になってしまったような気がした。
「けれど皆様は、わたくしの力は偽物だと……」
「そんなわけがない。この十年の功績をどうして軽視できるのか。アシュリーの力は本物だよ」
「ですが異世界から来たユイナ様も同じ力を持っているそうです」
ユイナとオースティンが抱きしめ合って、愛を囁く姿が今もアシュリーの脳裏に焼き付いている。
異世界の聖女ユイナはたった一ヶ月でアシュリーがずっと積み上げてきたものをすべて奪い取ってしまった。
「異世界から召喚したのはペイスリーブ王国の禁術を使用した魔法師だ。僕はそいつを捕まえなければならない」
「………え?」
「禁書を持ち出して他国で力を使う代わりに大金を得ている」
「そんなことが……」
「その聖女と呼ばれている少女の力はたまたまアシュリーと同じようだが、時間と共にその力も失われていくはずだ……彼女の力は恐らくどんどんと弱まっていく可能性が高い」
「弱まる……?」