捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
アシュリーはギルバートが王太子であることを本人の口から聞いて知っていた。
ロイスの言葉に合わせてギルバートは髪色を元に戻す。
クララも隣で驚愕している。
ロイスとギルバートは学園での友人で、祖母のこともアシュリーに説明してくれた。
アシュリーもギルバートから聞いてすべてを知っていたが、驚くフリをしなければならない。
先ほどの約束は誰にもバレてはいけないのだ。


「アシュリー、改めてギルバート・ド・ペイスリーブだ。よろしく」

「ギルバート殿下、ごきげんよう。アシュリー・エルネットですわ」

「アシュリー、君にプレゼントがあるんだ。見ていて」


ギルバートの手には白百合の花が握られている。
どうやらアシュリーが寝ている間に従者に買いに行かせたそうだ。
それをパチンと指を弾くだけで百合が真っ黒に染まっていく。
ギルバートからアシュリーに渡されたのは真っ黒な百合の花。
アシュリーはその花を受け取り、満面の笑みを浮かべた。


「まぁ……!」


ロイスとクララは違和感を感じたのか表情を固くする。
今までアシュリーは白や薄い色の服を好んで着ていた。
そんなイメージからか、治療のお礼として贈られる花には白百合やマーガレットにガーベラなどの可憐な花が多かった。
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