捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
「僕に任せておいてくれ」
「……ギルバート殿下」
「必ずアシュリーをここから救い出してみせるよ」
ギルバートはアシュリーから手を離すと、ゆっくりと立ち上がった。
「……僕は一度、ペイスリーブ王国に帰ってこのことを父上に報告させてもらうよ。今度は元気な時にゆっくりと話そうか」
「はい、ありがとうございます。ギルバート殿下」
ギルバートは共にきた複数人の護衛と共にエルネット公爵邸から去って行った。
「ギルバート殿下はアシュリーに想いを寄せていたらしい。ずっと昔から……」
ロイスの言葉にアシュリーは大きく目を見開いた。
「……申し訳ありません。わたくし、何も気付かなくて」
「仕方ないさ。お前はオースティン殿下の婚約者だったんだから」
アシュリーは戸惑いつつも胸元に手を寄せた。
それもギルバートから直接聞いていた。
しかし今は知らないフリをしなければならない。
「こんなにもアシュリーお嬢様を気にかけてくださるなんて。私はとても嬉しいです」
「……クララ」
「アシュリーお嬢様のことを大切にしてくださるなら賛成ですわ」