捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
ロイスもギルバートに協力するつもりのようだ。
アシュリーに両親が激しく叱咤する姿を見ていたからか、顔を合わせないようにしてくれている。
ロイスは病み上がりのアシュリーを心配しながらも、料理を食べている姿を見て安心しているようだった。

今までアシュリーは両親の話をニコニコと笑顔で聞きながら、相槌を打ち少量ずつ口に入れていた。
二人の口から吐き出される悪意と欲望は、どんどんとアシュリーの食欲を削っていった。
今までは何を食べても砂のような味しかしなかったのに二人がいないだけで、こんなにも食事が美味しく感じる。
今まではいくらお腹が空いても、先に食事をすることはなかった。
具合が悪くても両親が心配するかもしれないからと必ず食卓に腰を掛けた。
そんな意味のない気遣いを繰り返したところで全部無駄だと気づかずに。

それが家族のためだと思っていたアシュリーは、今まで一体何に支配されていたのだろうか。
空気が悪い食卓に居続けることも無駄。
黙って話を聞いていることは、もっと無駄。
全部全部、無意味な時間だったのだ。

〝アシュリー〟の心配など、あの二人がするはずもない。
するとしたら金の心配だけだったのだろう。

昼間はまったく姿を見せない両親は毎日足繁く王宮に通い、抗議をしながら不平不満を漏らしているそうだ。
ロイスはギルバートと連絡を取り合い、色々と準備をしてくれている。
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