捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
そうやって稼いでいたせいで両親は本来自分たちがしなければならない仕事をなおざりにしていたらしい。
ロイスが食事中にそう呟いていた。
娘の部屋に定期的に通う貴族や領民たちから毎回金を受け取るだけで働かなくてもいいのだから楽な商売だったろう。

しかし、アシュリー本人は朝から晩まで治療していたとしても何一つ恩恵を受けないままだった。
十年間ずっと二人の操り人形として動いていただけ。

(また利用しようというの……?あれだけのことをしておいて、わたくしが許すとでも?)

二人はその糸が切れたことに気づかないままだ。
ただ困惑していればいい。
両親にとっては愛する娘などではなく、ただの金の成る木、もしくは都合のいい駒だったのだろう。
そしてその木は何も知らずに一生懸命、金を実らせ続けていた。
そのせいでどんどんと二人がダメになっていくのにも気づかずに……。
目の前にある幸せを守ろうとして現実から目を背けた結果がコレだ。

(……滑稽だわ)

二人はアシュリーに謝るタイミングでも窺っているのだろうか。
縋るような声が耳に届くたびに吐き気がする。

(あの時は感情的になってしまった、我々はどうかしていたんだ、本当はあなたを世界で一番愛している、大切な娘だから……この中から何個当たるのかしら。ふふ、楽しみね)
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