捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜

(……いい気分だわ。どうしてこんな簡単な嫌がらせを今まで思いつかなかったのかしら)

アシュリーの力に縋っている人は山のようにいた。
金さえあれば病気の症状を抑えることができる。
医者では治らない病もアシュリーならば治療できる。
だから命が惜しくて大金を持ってくる。

しかし同じ力を持ったユイナがいるからといって、貴族たちは国王の許可なしに彼女の力を使うことはできない。
異世界からやって来たユイナは王家が保護している。
国王はユイナが力を乱用するのを防ぐため、また余計な知識を吹き込まれないよう王宮から出さないようにしていると聞いた。

国王たちはアシュリーがエルネット公爵邸で大人数の治療をしていたことを知らなかった。
アシュリーが社交界の場にでることなく、王家から無心した金で優雅に遊んでいたと思っているのだろう。

(ギルバート殿下は、ユイナ様の力は一時的になるかもしれないといっていたけど本当なのかしら……ユイナ様はどんな世界で生まれ育ったの?)

しかしアシュリーには力が一時的だろうと、どれだけユイナの力が大きかろうとどうでもよかった。
アシュリーが今から壊す国のために力を使うことはもうないのだから。
ユイナの力を体感したオースティンたちは、魔力切れで苦しむアシュリーを簡単に切り捨てた。
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