捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
(魔力切れだなんて、この国の人間がわかるわけないわよね)

そして異世界人のユイナならば、エルネット公爵家のように横柄な態度を取られることも、治療の対価として大金を支払う必要もなくなり万々歳というわけだ。

国王と王妃の様子を見る限り、とにかくエルネット公爵家が気に入らずに不満を溜め込んでいるようだった。
エルネット公爵家との縁を完全に切りたかったが、アシュリーの代わりがいないため我慢するしかなかったのだろう。
アシュリーが体調を崩したのをきっかけに、前々から準備していたアシュリーと同じ力を持つ異世界から人を呼び寄せた。
こう思うと相当前から準備は進められたのかもしれない。

ギルバートも言っていたが異世界から人を召喚することは誰でもできることではない。
禁術を使う魔術師を捕えなければならない。
サルバリー王国から膨大な金を得た魔術師はどこに潜んでいるのだろうか。
ユイナがどんな世界からやってきたのかはわからないが、彼女は聖女としてアシュリーと同じ目に遭うのだろう。

しかしそうしてまでサルバリー国王はエルネット公爵家とアシュリーを頼りたくはなかった。
オースティンとの婚約を破棄して、魔獣から国を守れなかったことをすべてアシュリーのせいにした。
そのためにアシュリーが〝偽物〟で、ユイナが〝本物〟にならなければならなかった。
けれど、これからはどうなるだろうか。
< 66 / 240 >

この作品をシェア

pagetop