捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
「そんなに心配しなくてもいいよ。アシュリーが不安になる事は絶対に起こらない。そのために僕がいるんだよ」

「……えぇ」

「それに今日はとても空気が悪くて疲れてしまったんだ。彼は想像以上に腐っていたみたいだ……がっかりしたよ」


ギルバートは抑揚のない声で淡々と話していた。
周辺の国々が集まって重要な会議があったらしい。
ペイスリーブ王国の王太子で次期国王であるギルバートはもちろんのこと、同じ立場であるオースティンも参加していた。


「アシュリーの想像通り、彼の病は進行しているようだよ」

「そう。やっぱりそうだったのね」

「それから魔獣の対応に追われているのかサルバリー国王とオースティンは憔悴していたよ」


どうやらアシュリーの勘は当たっていたらしい。
アシュリーはギルバートと結婚して以来、ペイスリーブ王国国内で開かれるパーティーには参加しているが、国同士が関わる大きな式典にはまだ姿を現していない。
結婚式も待ってもらっている。
アシュリーがオースティンたちの前に姿を現すのはまだ先がいい。


「それに今日はユイナを見かけたよ。王子たちに囲まれて幸せそうに笑っていた」

「……ふふ、それは素敵ね」


王子たち……その言葉を聞いて笑みを深めた。
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