捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
視線を逸らすアシュリーの頬をギルバートのゴツゴツとした手のひらが包み込んだ。


「アシュリーの悩みはすべて僕が解決してあげたい。僕にできることがあったらなんでもするよ」

「……ギルバート」

「君は僕の女神なんだ」


ギルバートはアシュリーを見て嬉しそうな笑顔に目を細めた。
彼は時間の経過と共にアシュリーへの愛が増しているような気がした。
それはもはや崇拝に近いのかもしれない。
あまりにもなギルバートの変わりようにペイスリーブ国王や王妃、ロイスも驚いていた。

しかしアシュリーは内心戸惑いを感じていた。
自分にこんな風に愛される価値はあるのかがわからない。
そんな不安を払拭するかのようにギルバートはアシュリーを溺愛していた。


「わたくしは女神なんかじゃないわ。ギルバート、あなたは勘違いをしているのよ」

「こんなにも僕が愛を伝えているのに意地悪だな。まだ足りない?」

「十分、足りているわよ」

「そうかな?」


幸せの絶頂にいるであろうサルバリー王家とエルネット公爵家の未来を絶望に染め上げる。
そのためには心を殺し、利用できるものはすべて利用する。
その覚悟でアシュリーはここにいる。
互いの目的を理解して必要な準備を進めていく。
誰も邪魔させない。
あの憎たらしい顔を思い出すだけでアシュリーは正気ではいられない。
はらわたが煮えくり返るのだ。
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