捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
「はい、よくなりましたよ」

「……アシュリー嬢、ありがとう」

「困った時はお互い様ですから」


お礼をというギルバートにアシュリーは首を横に振って天使のように笑った。
その時、アシュリーに心を奪われたのかもしれない。
しかしすぐにアシュリーがオースティンの婚約者だったことを知る。
それでも彼女が忘れられずに、ずっとアシュリーを想い続けていた。

他の令嬢など足元に及ばない。
そうしてアシュリーに思いを馳せるうちに、すっかりと拗れてしまったようだ。

しかしまた一年後、あるパーティーでオースティンが彼女に対する扱いを見て愕然としていた。
他のサルバリー王国の貴族たちも同様だ。
敵視されている……そんな感覚だった。

(もしかしてアシュリー嬢はサルバリー王国で肩身の狭い思いを?)

しかし隣国に住むギルバートにはそれすら確かめるすべはない。
その時からアシュリーのことが気になって仕方なかった。
もし彼女が苦しんでいるのだとしたら助けたいと強く思うようになる。

それから王立学園に通うようになると、アシュリー・エルネットの兄であるロイス・エルネットがサルバリー王国から留学してきた。
そのこと知った時には運命なのかと思ってしまった。
すぐにロイスと親しくなった。
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