捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
彼の祖母はペイスリーブ王国出身で魔法が使えないことでサルバリー王国に嫁いだと聞いて首を捻る。
ギルバートが疑問に思い、前国王の祖父に問いかけると彼はアシュリーとロイスの祖母の秘密を知っていた。
彼女はアシュリーと同じ力を持っていたが、周囲にこの力がバレて利用されることを恐れたらしい。

当時の公爵は娘の意見を尊重してサルバリー王国に行くことを許可したと聞いて驚いていた。
それからの消息は不明だそうだが、公爵ならば何か知っているかもしれないと言った。

ロイスにそのことを話すと、彼は興味深そうに聞いていた。
そしてアシュリーの事情を話してくれたのだ。
アシュリーも同じ力を持っていたのだ。
それからアシュリーの扱いを聞いていくうちに怒りで頭がおかしくなりそうだった。
ロイスも自分もアシュリーを守ろうとしたがこうして引き離されてしまったと語った。
アシュリーを守れないことを悔いており、アシュリー付き侍女のクララと連絡をとっているものの、アシュリーを取り巻く状況はよくなるどころか悪くなるばかりだそうだ。

そんなある日のことロイスがアシュリーからだという手紙を握っていた。
その手はなぜか震えている。
アシュリーはロイスを気遣い、自分を心配させないようにしていると言った。
彼の目にはじんわりと涙が滲んでいる。

(アシュリー嬢は自分がこんな状況にも、かかわらず人を思い遣れる女神のような女性だ)
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