七日目の恋 ダリウスとリセ・改訂版・魔法の恋の行方シリーズ
その人は・・
金の瞳・・冷たいが強い光が灯っている。
何代か前に、エルフの血が入っている人なのだろう。

優雅で美しい容姿。それもとびきり極上のランク。

長めの銀灰の髪は、少し紫のモーブ色がはいる。
王族の血統だ。

額にかかる髪をうるさそうにかきあげて、面倒くさげにその主人は言った。

「お前は魔女か・・
それもポンコツだな・・俺もなめられたものだな」

「はい。一週間よろしくお願いいたします」
リセは動じることなく、頭を下げた。

この主人は、リセを上から下に視線を動かして・・値踏みしているようだった。

「ひと月に10日、<魔女ホルモン>が急激に低下する体質か。
仕事にならないと聞いたが・・」

「はい、貧血や頭痛、めまいがひどく、冬眠状態なるので・・
お休みをいただきます」
リセはまったく感情をいれず、
説明をした。

自分の<取り扱い説明書>を、
最初に、主人にしておかねばならない。

「ですから、私の任期は1週間です」

主人は寝っ転がったまま、のびをした。

「お前は俺より弱い。護衛が主人より弱くて務まるのか?

ダリウスは、小動物をいたぶる悪ガキのような調子で、疑問を投げかけた。

「物理的には・・そうですが、
私が最大値の魔力行使をすれば、ダリウス様を危険から守る、回避はできます」

リセの魔力は攻撃より防御に強い。

他の魔女ではできない、
時空を瞬間的にゆがめ、銃弾の弾道や爆発をそらす事もできる。

しかし、それを使えば・・・
1か月は・・<魔女ホルモン>が枯渇するので、ほぼ寝たきりで魔力回復に努めなければならないが・・・

リセはこの新しい主人に対して、まっすぐな視線をやった。

「おまえは首だ」

「はい、1週間後に退職します」
リセはよどみなく答えた。

ダリウスとリセの視線は、お互い譲らない状態になったが、
ダリウスは、リセの引かない態度が理解できたようで

「はぁ・・・・わかった・・
出かける」

そう言ってから、リセに向かって、犬を追い払うかのように<立ち去れ>と手を振った。

「車を準備いたします」

リセは答え、頭を丁寧に下げた。


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