七日目の恋 ダリウスとリセ・改訂版・魔法の恋の行方シリーズ
ダリウスは自分の脱いだパーカーを、リセにつきつけた。

「・・はい?」

命令なので、リセは自分の上着の上から、パーカーをかぶって着た。

小柄なリセにはそれでも、大きかったが。

ダリウスはジャケットの内ポケットから、小さなナイフを取り出すと、リセに近づいた。

「動くな!」
リセは目をつぶった。

失言が原因で死ぬのかな・・
殺されるのかな

死ぬ前に、シナモンクッキーを山ほど食べたかったな・・
と、思いつつ身をすくませて息を止めた。

頭のすぐそばで、ダリウスの動く気配がした。
リセの髪が・・ふわりとほどけた。

「このほうがいい・・」
その声に、リセは目を開けた。

ダリウスは、すでにナイフをしまっていた。

やっとリセは気が付いた。
ダリウスは、リセの髪をしばる紐をナイフで切ったのだ。
「行くぞ」

ダリウスはそう言って、自分の右手を出した。

リセはほとんど涙目で、ダリウスを見た。
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