七日目の恋 ダリウスとリセ・改訂版・魔法の恋の行方シリーズ
遊歩道にはほとんど人気がなく、
遠くで犬の散歩をしている人が、木々の間から見えるくらいだ。

リセはダリウスの背中で緊張して、固まっていたのだが

「もっと体重をこちらに預けてくれないと、重いぞ」

と、言われたので、
リセは、大木にしがみつくセミのような格好になった。

頬に、銀灰の波がかった髪が触れてくすぐったい。

それと、シトラスとスパイシーな葉巻の香りがする。

この黄金の瞳を持つ騎士なら、
大蛇も凶悪なドラゴンも、一刀両断で成敗するのだろう。

美しい姫君を助けるために・・

姫君は・・私ではないけど

そう・・護衛の仕事は・・
守られる事ではないのだ。

ワン!!ワンワン・・

駐車場の方から、犬の吠え声が響いたので、リセは現実に戻った。

「ダリウス様、もう近いので大丈夫です。おろしてください!!」

ダリウスは無言で立ち止まり、
リセを抱えている手をゆるめたので、リセはストンと滑り落ちた。

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