七日目の恋 ダリウスとリセ・改訂版・魔法の恋の行方シリーズ
「車の鍵は?よこせ」

ダリウスはいつもの調子で、右手を差し出したのでリセはポケットから鍵を出し渡した。

ハザードが点滅して、ロック解除される。

「お前は助手席に乗れ」

そう言って、
リセに助手席に乗るように、ドアを開けてくれた。

車の中、リセはハンカチを握りしめてうつむいていた。

軽快なジャズの音色、ダリウスの機嫌は悪くない・・
と思うが、リセは自分の足元の赤い靴を見つめていた。

この人がかわいい・・って言ったのだ。

確かにこの赤い靴はかわいい・・と思う。

ホテルの駐車場に着くと、
リセはすぐに車から降りて、ダリウスに深々と頭を下げた。

「本日はご迷惑をかけて、申し訳ございません」

ダリウスはサングラスをはずして、リセの耳元でささやいた。

「明日もちゃんと来るんだぞ」

その言葉は、学校に行くのをいやがっている子どもにかけるようだ。

ダリウスは身を翻して、エレベーターホールに向かって行った。
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