七日目の恋 ダリウスとリセ・改訂版・魔法の恋の行方シリーズ
ダリウスが・・迫ってくる。

唇が触れる寸前だった。

魔女は目をぎゅっとつぶって、大声で叫んだ。

「キスした事なんて!!ないんですぅ!!」

「は・・?」

ダリウスが大きく目を見開いて、面食らった顔をした。

リセは目をつぶったまま、早口で魔術呪文を唱えるように言い続けた。

「私、キス、ないです!・・
だから・・うまくできないです!!」

キスが無理と言ったら、次はスカンク玉を食べろと命令するのだろうか・・

もし、そうなったら時間魔法を使おうと、リセが決意した瞬間、
体にかかった重さが、ふと消えた。

両手首も解放された。

ダリウスはソファーに座り、体を丸くして横になっているリセの姿を見ていた。

魔女は両手で顔を覆って、体を震わせていた。

「悪かった・・ちょっと、からかっただけなのだが」

ダリウスは首を傾げて、
額にかかった長めの前髪を、罰が悪そうにかきあげた。
< 56 / 92 >

この作品をシェア

pagetop