七日目の恋 ダリウスとリセ・改訂版・魔法の恋の行方シリーズ
リセはようやく言葉を・・息を吐くように出した。

「なぜ、避けなかった!!」

ダリウスは、リセの方に速足で歩いてきた。

「心配で・・何かあったら・・」

リセは肩で大きく呼吸しながら、ようやくそれだけ言う事ができた。

ダリウスがリセの正面に立ち、
そのあごに指をあてて、確認するように言った。

「かすっただけか・・・」

「え・・・?」

そう言われて、リセは初めて頬に、一筋の痛みがあることに気が付いた。

指で頬に触れると、少し血が出ていた。

「心配で・・」

リセは痛みより、安堵で力が抜けて、近くの木の幹に手をついて体を支えるようにした。

ダリウスの金の瞳が・・揺れて、それから大きなため息をついた。

「まったく・・・!
おまえなら避けられるだろう!
なんで・・勝手に」

ダリウスの指が、リセの頬に触れた。

「あ・・」

次にダリウスの唇が、リセの頬の傷をなぞるように触れた。

「魔女の血は・・甘いのだな・・」
そう言うと、
リセを包み込むように抱き寄せた。

これは・・何かの魔法?

リセの体の力が抜け、目が閉じられた。

まぶたの裏側に、あの金と銀のリボンが、絡まりあい、ダンスをする軌跡が描かれていく。
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