七日目の恋 ダリウスとリセ・改訂版・魔法の恋の行方シリーズ
「納屋に車が隠してある。
お前が運転しろ。俺は追撃してくる奴を撃退する」

「わかりました」

リセもハンカチで口を押さえて答えたので、くぐもった声になった。

ダリウスが突然止まり、振り返った。

「だから、スリングショットと、他の武器玉をよこせ」

「え・・?」

これは緊急事態だ。

リセは判断した。
彼に任せた方が確実だ。

ダリウスのほうが、飛距離が出る。

車で逃げるのなら、追手を撒くために煙幕玉と閃光弾を使うのが有効だ。

「よしっ・・開けるぞ」

ギシギシと板戸をきしませて、開けた時だった。

納屋の大きな入り口が、開けられていて
夕方の傾いた太陽光線が、納屋の中奥まで届いている。

まぶしくて、手で顔に影をつくったリセにも、
入り口に立っている、痩身の男のシルエットがくっきりと見えた。

その影は・・深々とお辞儀をした。

「ダリウス様、お疲れさまでございます」

「あーーーやっぱりな」
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