ネカフェ難民してたら鬼上司に拾われました
第八話・元カノ?
その噂話をショップへと持ち込んできたのは、昼休憩を終えたばかりの大庭詩織だった。根っからの地元民ということもあり、詩織は他のテナントにも昔からの知り合いが多い。社員食堂でたまたま会ったという同級生の沙耶は、アジアン雑貨ばかりを扱う店の副店長らしい。
穂香も何度か見かけたことがあるが、いつもロングのチャイナドレスを着ていて、なかなか目立つ美人さんだ。
「沙耶から聞かれたんですけど、うちのオーナーって『ルーチェ』のオーナーと最近まで付き合ってたって本当ですか?」
『ルーチェ』というのは、穂香達の店『セラーデ』の通路を挟んで斜め向かいにあるアパレルショップのこと。オーナー自らが韓国で仕入れて来たレディース商品ばかりを扱うセレクトショップ。『セラーデ』よりは少し上、30代からのキャリアウーマン向け商品が多い。
「ああ、可能性はありそうだよね。確か、向こうのオーナーとは幼馴染じゃなかったっけ? 本店同士も近いし」
「あ、そう言えばそうでしたね。『ルーチェ』のオープンにはうちのオーナーが結構協力してあげたって聞いたことあります」
「そうそう、お互いがそれぞれの会社の役員になってるし、親の代からの付き合いっぽいね。ハトコとか、何かそういう遠縁じゃなかったっけ?」
平日の昼間ということもあって客足も少なく、閑散とした店内で弥生と詩織がヒソヒソと噂話に花を咲かせる。
穂香は島什器のカットソーを畳み直しながら、二人の話を黙って聞いていた。
――『ルーチェ』のオーナーって確か……。
顔見知りの170cm近い長身の女性のことを頭に浮かべる。『ルーチェ』のオーナーである山崎留美のことは、その身長で7cmはあるヒールを履いていたから、初めて会った時はイベントに借り出されたモデルさんだと勘違いしてしまった。
確かにあの背丈だと、並みの男性ではつり合いが取れない。川岸くらいないと男性側が萎縮してしまってもおかしくはない。
「オーナーも留美ちゃんって下の名前で呼んでるくらいだし、あり得なくもないんじゃない?」
「えー、でも、お似合い過ぎて逆に面白くないですよね」
長身の美男美女のカップル。たまに並んで歩いている姿を目にすることはあったが、確かにそれは異次元の光景だった。
穂香も何度か見かけたことがあるが、いつもロングのチャイナドレスを着ていて、なかなか目立つ美人さんだ。
「沙耶から聞かれたんですけど、うちのオーナーって『ルーチェ』のオーナーと最近まで付き合ってたって本当ですか?」
『ルーチェ』というのは、穂香達の店『セラーデ』の通路を挟んで斜め向かいにあるアパレルショップのこと。オーナー自らが韓国で仕入れて来たレディース商品ばかりを扱うセレクトショップ。『セラーデ』よりは少し上、30代からのキャリアウーマン向け商品が多い。
「ああ、可能性はありそうだよね。確か、向こうのオーナーとは幼馴染じゃなかったっけ? 本店同士も近いし」
「あ、そう言えばそうでしたね。『ルーチェ』のオープンにはうちのオーナーが結構協力してあげたって聞いたことあります」
「そうそう、お互いがそれぞれの会社の役員になってるし、親の代からの付き合いっぽいね。ハトコとか、何かそういう遠縁じゃなかったっけ?」
平日の昼間ということもあって客足も少なく、閑散とした店内で弥生と詩織がヒソヒソと噂話に花を咲かせる。
穂香は島什器のカットソーを畳み直しながら、二人の話を黙って聞いていた。
――『ルーチェ』のオーナーって確か……。
顔見知りの170cm近い長身の女性のことを頭に浮かべる。『ルーチェ』のオーナーである山崎留美のことは、その身長で7cmはあるヒールを履いていたから、初めて会った時はイベントに借り出されたモデルさんだと勘違いしてしまった。
確かにあの背丈だと、並みの男性ではつり合いが取れない。川岸くらいないと男性側が萎縮してしまってもおかしくはない。
「オーナーも留美ちゃんって下の名前で呼んでるくらいだし、あり得なくもないんじゃない?」
「えー、でも、お似合い過ぎて逆に面白くないですよね」
長身の美男美女のカップル。たまに並んで歩いている姿を目にすることはあったが、確かにそれは異次元の光景だった。