突然ですが、アイドル双子が急接近!

「智也くーん!」



「ファイトー!」



放課後。
私は、若菜と一緒にバッグを持って帰ろうとしていたところだった。
校庭に向かって、女の子達が叫んでいる。



「あれ、智也くんのファンクラブ」



私達が不思議そうに見ていることから、向日葵先輩が横からやってきた。



「アイドル双子って、サッカー部なんですか?」



「智也くんはサッカー部、楓也くんは野球部よ。だから、運動部に入っている女の子も結構多くてねー」



確かに、部活が一緒になれば放課後もアイドル双子の姿を見ることができるからね。

なんだか、この学校って本当にマンガの世界みたい。
アイドルのような扱いを受けている、双子。
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能、それにファンクラブ。



「楓也くんのファンクラブも、野球部のところにいるわ」



そうか、やっぱり楓也くんのファンクラブもきっとこんなふうに熱くなってるんだろうなぁ。



「私も入りたい!」



「え? 運動部に? 若菜、音楽部はどうするの?」



若菜は中学の頃からフルートを部活で吹いているから、てっきり音楽部に入る予定だと思ってたのに。

私が聞くと、若菜は首を横に振った。



「うん、音楽部にももちろん入るけれど、そしたら運動部は無理じゃない? だから、ファンクラブには入りたいよー」




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