突然ですが、アイドル双子が急接近!
「おーい、果歩ー!」
赤信号を目にして、足を止めているところだった。
道路の向こう側で立ち止まりながら、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「若菜!」
彼女の名前は、坂本若菜といって、中学1年生の頃からの親友。
くるん、とした茶色いロングヘアとスラリとした長い手足がとっても大人っぽくて、私と並ぶとまるで別の世界の人なのでは? と思うくらいの美人さん。
私も一応、肩まで届く黒いストレートヘアをいつもキレイにはしているつもりなのだけど……やっぱりどう見ても若菜には敵わない。
青信号になり、私は小走りで若菜の元へ向かう。
「おはよ!」
「おはよー!」
若菜の声に、私も返してから高校へ向かった。
「ねぇねぇ、翠ヶ原高校に、アイドル双子がいるって果歩走ってた?」
「へ? アイドル双子?」
アイドルって、なんのことだろ?
芸能事務所で仕事をしつつ、学校に通っているアイドルが、うちの高校にいるってことなのかな?
「なんかね、すっごいイケメンな双子がいて、いつも女子からアイドルって騒がれてるんだって」
「へぇー……」
でも、学校に行ったら容姿が整っている人がいっぱいいそうだし……想像がつかないよ。